音のまにまに

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ガラスごしの恋のうた だよねP / “金魚の向こうにはいつも君がいる”

 2015年上半期VOCALOID10選の一曲目は、こちら。

だよねP / “金魚の向こうにはいつも君がいる”

 小説の題名になりそうな印象的なタイトル。水の中の金魚は、綺麗で――と金魚を中心とした恋の歌なのかな?と予想していました。でも、違いました。

 歌詞の中で、「金魚」は一度しか出てきません。それも最初のワンフレーズ<金魚の向こうにはいつも君がいる>のみ。むしろ、金魚が入ってる「水槽」に関係する言葉が散りばめられています。

*Aメロ  

水槽越しに/君を/見るの/こっちを/向くかな>

*サビ1  

ガラス越しに君を描き始めた日>

白く濁る週末の朝は/水を換えているの/よく見たいから>

<現実と水槽の狭間で咲く恋もあるの>

*サビ2  

水槽の向こうから話し始めた日>

<眩しかった君を間近に見るには/ガラス越しじゃないと眩しすぎたの>

*サビ3  

<現実と水槽の狭間で咲く恋もあるの>

*ラスサビ

<いつか君と水槽越しにキスを交わすの>

 8回も出てる!?金魚は一回なのに……。だったら“水槽の向こうにはいつも君がいる”でもいいんじゃ?と思うかもしれません。

 え?イラストに金魚が書かれているから別に問題ない?

 実は歌詞の中でもちゃーんと、金魚は描かれているのです。歌詞中の想い人=君の比喩として。

<眩しかった君を間近に見るには/ガラス越しじゃないと眩すぎたの>

 この甘酸っぱいフレーズ。主人公には当然金魚は見えていません。君だけを見ています。金魚の鱗がキラキラ光る如く眩しい君を。少し強引かもしれませんが、眩しい君と水の中の美しい金魚が重なっていると感じました。

 だから、タイトルは水槽ではなく金魚の向こうなんだ、と納得しました。また、夏という季節を連想させるのもポイントが高いです。他の綺麗な魚、クマノミエンゼルフィッシュだと雰囲気がガラッと変わっていたでしょう。

 夏の風物詩「金魚すくい」を見かけたときには、この曲が脳内再生されそうです。

 ここまで歌詞について長々書きました。曲も歌声も響きがあって素敵な音なので、ぜひ聴いてみてください。(ピアノと味のあるクラリネットの音とか!)

2015年上半期VOCALOID10選の記事はこちら